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【こどもに寄り添う】大切なカブトムシが死んでしまった。初めて知る命。こどもの心と、そのとき親がすること

息子が4歳の頃、生まれてはじめて「生き物」を飼いました。

 

かぶとくん、と名付けられたアトラスオオカブト。

息子は「かぞく」と言ってかわいがり、それはそれは大切にしました。

 

そんなかぶとくんが、死んでしまいました。

まだ夏が始まって間もないころでした。

 

今日のブログは、4歳で初めて知る「お別れ」の意味と、そのときパパママはどうしたらいいのか、について考える記事です。

「その日」は突然でした

 

生き物を飼う以上、寿命による別れは当然です。

しかし、かぶとくんとの別れは、本当に突然でした。

 

それは、夫のつぶやきからでした。

 

「やっぱり白いゼリーは、嫌いなのかなあ?」

 

虫ゼリーの袋には色とりどりのゼリーが入っています。

かぶとくんはいつも、赤いゼリーは半日で空っぽにするくせに、白いゼリーは1日半くらいかかって食べていました。

 

夫はその日の朝、白いゼリーに交換してから仕事に行ったようです。

帰ってきてからゼリーを確認し、あまり減っていないことに気づいてつぶやいたのでした。

 

「虫にも好みがあるんだね」

と、返事をしたわたしの声に答えず、しばらく夫は虫ケースをごそごそして、それから小さい声で言いました。

 

「かぶとくん、おかしいな・・・」

 

ほら、と持ち上げてみて

「動かない」

と言いました。

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息子がそれを見て、すぐに自分の手のひらに受け取りました。

 

「ねてるだけだよ。まだあかるいから、ねてるんだよ」

 

言いながら、細い6本の足や背中をさすります。

いつもはギュッと捕まれて、イタタタッと悲鳴をあげる足のツメが、ピクリとも動きませんでした。

 

「こうしたらおきるよ。ねてるんだよ」

 

この段階で、おとなにはもうかぶとくんの寿命が来たことが分かりました

それでも息子は、何度も何度もかぶとくんをさすりました。

「もうやめなさい」と言っても、何度もかぶとくんを起こしました。

 

どうしてあげていいのか分からず、

「そっか、長く寝ているのかな・・・?」

と言ったら、息子はハッとした顔でわたしを振り返りました。

 

「ねてるんだよ。ながくねてるんだよ。つちのなかでねかしてあげたら、おきるんだよ」

 

そう言うと、そっとかぶとくんを虫ケースの中に戻し、上から土をかぶせました。

昼間、かぶとくんがそうやって土にもぐって眠っているのを見たばかりでした。

 

息子は泣いていませんでした。

大きな目をちゃんと開いてかぶとくんを見つめていました。

そして小さな指で、優しく優しく土をかけている姿を見て、わたしたち大人は胸がぎゅっと締め付けられました。

 

次の日の朝、いつものようにゴソゴソと虫ケースを動き回っていてくれたらいい。

心からそう願わずにいられませんでした。

 

息子と一緒に布団に入って眠り、朝を迎えました。

もちろん、その願いが叶うことはありませんでした。

 

受け入れられない

 

昨日、息子が土のベッドに入れてあげたままの姿でいるかぶとくんを見て、夫が切り出しました。

 

「かぶとくんとお別れしなくちゃね」

 

息子が真剣に言い返します。

「ねてるんだよ。まだおきてないだけだよ」

 

泣いていませんでした。

それでも、目の淵がわずかに赤くなっていました。

息子の心がひと晩中、ずっと揺れていたのが分かりました。

 

「そっか。じゃあ、ケースよりももっと広い、お外の土の中で眠らせてあげようか」

 

基本的に夫はとても優しい人です。

「死んだ」とも「目覚めない」とも言わず、息子の言葉を繰り返すようにそう言いました。

でも息子はガンとして聞き入れません。

 

「そとはいやだ。アリさんがもっていく、おそとはいやだ!

 かぶとくんはここでねるの。ここであそぶの!」

 

保育園で飼っているカブトムシやクワガタが死んでしまったとき、わたしに普通に「カブトムシがしんじゃったんだよ」と教えてくれた息子です。

お庭に置くとアリさんが持って行くんだ、と先生から教えられたことをそのまま話してくれていました。

 

かぶとくんが死んでしまったことを頭では理解しているのに、どうしても受け入れられない息子がいました。

だから、外に出したらアリが運んで行ってしまうことを分かっているのです。

 

「ほいくえんからかえってきたら、あそぼうね」

 

そう言って、かぶとくんを部屋に残したまま、息子は保育園に向かいました。

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お別れってなあに?

 

保育園から帰ってきても、かぶとくんはそのままです。

 

それでも息子は虫ケースを脇に置いて、絵本を読んだり、お絵かきをしたりして過ごしました。

やっぱり泣くことはありませんでした。

 

夕食を食べ、お風呂に入り、寝る間際にわたしが言いました。

「かぶとくん、まだ眠っているね。これから、どうするの?」

 

息子の動きが止まりました。

今までのように、「ねてるだけだよ」と即答することはありませんでした。

 

「おかあ、おわかれってなに?」

 

ぽつんとそう言われました。

目にいっぱい涙をためていました。

 

「バイバイする、ってことじゃないかな」

そう答えると、息子はぎゅっとわたしをつかみました。

 

「またあそぼう、ってこと?」

 

普段保育園から帰るとき、友達同士で「ばいばーい」「またねー」と言い合います。

ばいばい、またね。

また遊ぼうね。

 

「そうだよ。また遊ぼうってことだよ」

答えてから、息子の頭を包んであげました。

 

「かぶとくんがバサバサッて飛んだのを覚えてる?

 ほんの少し羽根を広げて、みせてくれたのを覚えてる?」

 

うん、と息子の頭が動きました。

前々日の夜、どうしてもカブトムシが飛ぶところがみたい、という息子の熱意に負けて、一緒に夜更かしをしてカブトムシを観察していました。

たった2秒ほどでしたが、大きな音を立ててかぶとくんがケースの中を飛んでくれました。

 

「ちゃんと覚えているんだから、いつでもかぶとくんと遊べるよ。

 忘れなければ、いつでもかぶとくんは一緒にいるよ」

 

うん、と息子の頭がもう一度動きました。

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気持ちよさそうだったよ

 

翌朝、保育園に行く前に、息子は夫と一緒にかぶとくんを庭の土の中に眠らせました。

「いやだ」と言うことはもうありませんでした。

 

かぶとくんの埋葬を終えて、玄関から入ってきた息子に声をかけると、にっこりしながら言いました。

「かぶとくん、きもちよさそうだったよ」

 

親のできること

 

4歳の息子が体験する、初めての「お別れ」でした。

 

かぶとくんとの別れに対する拒絶。

ひと晩考えて、その意味を理解したけれど受け入れられず、さらに考え続けます。

そして、さらに丸1日かけて納得しました。

 

この間、親ができたことは何もありませんでした。

ただただ、彼の中で受け入れられていくのを見守るだけでした。

 

でも記事にするために、この数日間の様子を振り返ってみて、それでよかったのだと思っています。

 

まだ4歳の息子を急かして、庭に埋葬させることはたやすいです。

気持ちではなく、力で「もう無理なんだよ」と諦めさせればいいのですから。

 

でもそうせずに、拒絶する彼の思いにも、受け入れられない葛藤にも、寄り添ってあげることで、彼自身でかぶとくんへの想いに折り合いをつけて納得することができました。

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もちろん、素晴らしい言葉や行動で、こどもを導いてあげられる保護者の方はたくさんいらっしゃると思います。

それはそれで心から尊敬します。

 

でも我が家は、夫もわたしも、何ひとつできませんでした。

ただただ一緒に、つやつやしたかぶとくんの身体を見つめ、息子の痛みを感じながら過ごしました。

何もできないからこそ、逆に何もせずに見守る選択をしました。

 

正解のない子育ての中で、この選択もまたひとつの方法なのだと思います。

 

夏は、初めて虫や生き物を飼うこどもが多いことと思います。

こどもが初めてのお別れに直面したときのことを考え、悩むパパママもいらっしゃいますよね。

どうしても、どうしていいか分からないような場合は、いっそ何もせずに見守ってあげることで道が拓けることもあります。

 

だから、先のことで悩まずに、いまはお子さんと一緒に大切な命を育ててあげてくださいね。

 

むすび

 

この記事を書いていて思い出したことがあります。

お別れの前々日の夜、息子が「飛ぶところをみたい」と言って夜更かしした日のことです。

 

いつもは息子が寝た後、我々夫婦をびっくりさせるほどの大きな音を立ててケース内を飛び回るかぶとくんが、その日はぐるぐるケース内を回るだけで、なかなか飛びませんでした。

 

思えば、すでに弱り始めていたのかもしれません。

それでも息子の前で、バサバサとかっこいい羽根をひろげてくれた。

 

そもそも、あの日「どうしても飛ぶところがみたい」なんてことを強く息子が言いださなければ、暗い部屋の中、親子でかぶとくんを観察することはなかった。

あの日に観察しなければ、もう二度とかぶとくんが飛ぶところを息子は見られなかった。

鮮烈な羽ばたき音の思い出は、わたしたちの中に残らなかった。

 

すべては、息子とかぶとくんの絆が見せてくれた奇跡だったのかもしれません。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が、何かのお役に立てば幸いです。

 

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